えっちな妄想は生きる糧。
第4章 会長×書記@生徒会室で
いつもの扉を開くと、彼は既にそこにいた。
長机に浅く腰掛けられた細身の背中。
少し長めだけど清潔で、細くてサラサラの髪が放課後の赤い光に透けている。
「何?話って」
彼は振り返りもせずに、近くででも遠くで響くような低い声でそう言った。
見とれていて、声をかけるのを忘れてしまっていた。
「はいっ…えっと…」
「用件は?無いなら、僕帰るよ。彼女待たせてるし」
彼は立ち上がり、パイプ椅子に置いてあった指定のスクールバッグを、男性なのに全然骨張っていない綺麗な手にとった。
逆光で彼の顔は見えないけれど、面倒臭そうな表情をしている気がする。
「あ、あのっ!!礼於会長に頼みたいことがあって…その…」
「何?急ぎの仕事?」
私の横を通り抜けて、彼はドアの取っ手に手をかけた。
このままだと、彼は本当に帰ってしまう。
ニットの袖を握り締めながら、私は彼に言った。
「私…ずっと、礼於会長が好きでした…」