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桜の夢

第10章 50cm


この声はいつも聞いていたあの声だ。

にかっていう音が聞こえるんじゃないかというくらいの笑顔と共に響く、いつもの声だ。

その声が前方から聞こえた。

ただ、いつもと違うのは声のトーンが何段階か低いこと。

いつの間にか伏せていた顔を上げると、流星がいた。


「流星…」


答える私の声もいつもより何段階か低くなる。

震えそうになる声を必死で隠し、流星に尋ねる。

今は流星に会いたくなかったのに…。

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