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桜の夢

第10章 50cm

そんな時だった。


「あれ?心愛ちゃん?」

突然、誠司がそんなことを言った。

俺は思わず周りを探してしまった。

誠司は電話の向こう側なのに…。


「心愛がそこにいるのか?」

「いや…ここじゃない。心愛ちゃん、外を走ってった」

「そうか…」


もう、そんなとこにいるのか。

てことは、駅前まで走ったんだな。


「お前さぁ」


突如、誠司の声が怖くなった。


「心愛ちゃんに何をした?」

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