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桜の夢

第11章 黒と水

「心愛一人で大丈夫?」


一気に現実に引き戻された感じがした。

心の中の黒いものがまた広がり始める。


「大丈夫でしょ。結局、表に出てこない連中の嫌がらせだし。こんな短時間じゃきっと何も出来ないよ」


私は敢えて冷静を装って言った。

小百合にいて欲しくても、そういう訳にはいかない。

かといって、私がついていっても駄目だ。


「もう珠理とか真緒ちゃんが教室にいるかもしれないし、教室戻ってなんとかするよ」

「ほんとに大丈夫?」


大丈夫じゃない。

ここから教室に戻る間で既に恐怖だ。

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