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桜の夢

第11章 黒と水


「大丈夫だから。行って!」

「じゃあ…。ほんとごめん!すぐ帰るから!」


そういうと小百合は急いで屋上から出ていった。

ぱたぱたというスリッパの音が遠ざかる。

このまま屋上で小百合を待とうとも思ったが、いつ帰ってくるか分からないのに屋上で待つわけにも行かない。

結局、小百合に言った通り、教室に戻ることにした。

黒いものが心に広がるけど、それを無視する。

気付いたところで、どうにもならないもの。

そんなの、気付いていないふりの方がましだ。

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