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桜の夢

第14章 一歩

「うん?じゃあどうしたの?」

「いや…それは…その…」


すると小百合はまた可愛らしい笑顔になって私の腕を引っ張る。


「それならさ、こんなことで立ち止まってないで中に入ろっ!」


私は一瞬ぽかんとしてしまったが、直ぐに「うん!」と頷き、出来るだけの笑顔を返す。

きっと心配はしてくれているんだろうけど、それを表に出さずにいつも通り接してくれる小百合。

それがとてつもなくありがたかった。


「小百合っ」

「ん?なぁに心愛?」

「いつもほんとにありがとう…大好きだよ!」

「そんなの私もだよ!」


私は小百合と一緒に校舎に向かう。

門の前で立ち止まっていた時の不安は、ちょっとだけど無くなった。

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