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桜の夢

第14章 一歩

下駄箱を開けた時、何も落ちてこなかった。

教室に向かう時、多少はあったものの後ろ指を指されることが少なくなった。

物を投げられることもなくなり、嫌がらせは本当に鳴りを潜めていた。

凄い…1週間でここまで変わるもんなんだ。

でもこれって皆のお陰だよね…

後でちゃんとお礼を言わなきゃ!


「心愛っ」

「ふぇっ?!」

「なんて声出してんの(笑)教室着いたよ?」

「あぁ…うん」


いつの間にか教室の前だった。

そこでまた立ち止まる私。

ここまで来てなんだけどやっぱり怖い。

いつも軽々開けていたはずの扉が、今は重い鉄の扉の様に思える。

やっぱり…逃げたい…


「こぉーこあ!」


突然、小百合は私の右手を握った。


「大丈夫!私がついてるよ!だから入ろう?」


…そうだ。

私は一人じゃない。

隣には支えてくれる人がいる。


「ごめんね、小百合。入ろっか!」

「うん!」


私は教室の扉を開けた。

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