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桜の夢

第14章 一歩

「心愛ちゃん、おはよう!」


誠司君も笑顔で挨拶をしてくれる。

そしてそのまま顔を流星に向け、ニヤニヤし出した。


「てか流星、さっきと表情が違うんだけど~?」

「べ、別に一緒だろ…」

「あれ~?"心愛が来ない"ってふてくされてたのはどこのどいつだっけ~?」

「ふてくされてねーよ!」


流星は顔を真っ赤にして怒り出す。

誠司君と小百合がそれを見て笑う。

それが何だか微笑ましかった。

つられて私も微笑む。

その時だった。


「あ―」


後ろ、つまり教室の扉の方からそんな声が聞こえた。

何気なく振り返ると―そこにいたのは真緒ちゃんだった。


「こ、心愛ちゃん…」


真緒ちゃんは独り言の様に呟き、そして廊下を走り去っていった。


「ま、待って!真緒ちゃん!」


私はその後を追った。

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