桜の夢
第2章 夜桜
「…いいよ。別に」
「サンキュ」
仲里君―流星は例のにかっとした笑みを浮かべた。
にしても名前だけでそんなに嬉しいんだろうか?
…って、名前忘れてた私が言えることじゃないか。
「心愛って、家、この辺なの?」
「ううん。もっと駅の方だよ。表のとんかつ屋でバイトしてるだけ」
このとんかつ屋は学校と家の通り道にある。
だから学校帰りには寄りやすい。
「そういう流星はこの辺に住んでるの?」
「いや、俺、電車通学だし。ここにいるのは自主練」
そう言って持っているバットを私に見せた。
「へぇ~。流星って野球部なんだ!何かそれっぽいね」
「一応、これでもレギュラーだし」
なるほど。
努力が実ってのレギュラー入りっていかにも青春って感じ!