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桜の夢

第16章 船橋さん

「東城さん、大丈夫?」


すぐ後ろから船橋さんの声がした。

あれ?後ろ??

気がつくと私は船橋さんに後ろから抱きかかえられるかのように支えられていた。

驚いた私は、慌てて船橋さんから離れる。

だが、それを船橋さんは阻止する。


「急に動いたらまた転んじゃうよ?」


そう言う船橋さんの顔は目と鼻の先。

ち、近い!

そんな私のどきどきを知ってか知らないでか、船橋さんはにっこりと笑った。

そして、私と相手を床の濡れてない所で立たせ、お客さんに向かって深々と頭を下げた。


「大変申し訳ございませんでした」


店内に船橋さんの声が響き渡る。

…ってやらかしたのは私じゃんか!

私も慌てて隣で頭を下げた。

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