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桜の夢

第16章 船橋さん

「東城さん!大丈夫?!」

「すみません、なんでもないです」


私はさっと手を後ろに回し、ぎこちない笑顔で答える。

その手を船橋さんは掴み、ぐっと引っ張って手の平を見た。

私の手の平は血まみれだ。


「こんなに血か出てて、大丈夫じゃないじゃん!消毒するよ!」

「い、いえ!大丈夫なんで…」

「つべこべ言わない!」


そう言うと、船橋さんは私を引っ張って奥に引っ込んだ。

その途中で、他のスタッフに片付けを頼むことを忘れない。

ほんとに気のきく優しい人だな…

私は自分がやらかした失態だという事実を忘れ、感心してしまった。

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