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桜の夢

第16章 船橋さん

船橋さんは裏まで来ると、急いで手当をしてくれた。


「船橋さん、上手ですね…」

「俺、これでも看護士目指してんだ。だから、そこら辺の女の子よりか上手い自信あるよ(笑)」


後半は冗談半分だろうが、全くもってその通りだと思う。

現に手の平は止血され、ピリピリとした痛みはだいぶ収まっていた。

しかも、包帯はしっかりと巻かれて、ずれることも無さそうだ。


「船橋さん、いい看護士さんになれますよ」

「はは、ありがとう。でもね―」


そこで船橋さんは、手の平の傷に触れないように私の手を取った。


「東城さん、危なすぎるよ?もっと気をつけるべきだよ」

「…すみません」

「謝ることじゃないし、謝る相手は俺じゃない」

「…」

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