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桜の夢

第18章 雨

「心愛!おはよっ!」

「…おはよ」


校門の所で小百合に会った。

可愛らしい笑顔だったが、今の私じゃ同じ笑顔で返せない。


「雨って面倒くさいよね~。せっかくセットした髪型が湿気で広がっちゃう!」

「…うん」

「…心愛?大丈夫?」


反応が薄い私を不思議に思ったのだろう。

小百合が心配して、私の顔を覗き込んだ。


「えっ?!ちょっと、心愛!目、パンパンに腫れてるじゃん!」

「…」

「心愛、何かあった―」

「なんにも!!」


思わず叫んでしまった。

小百合は悪くないのに…


「なんにも……ない…よ………」

「心愛…?」

「ごめんね…」


私はその場にいることが出来なくなって、校舎に駆け込んだ。

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