桜の夢
第20章 罠と告白
その時だった。
私の頭の上のドアが開いた。
「えっ…?」
驚いた船橋さんの力が緩んだ。
私は必死の思いで船橋さんから逃れ、車の外へと逃げ出す。
そして、逃げ出した私を誰かが抱きしめてくれた。
「心愛、大丈夫か?」
ここ数日、ずっとこの声を聞きたかった。
話せないのがものすごく苦しかった。
私の大切で、大好きな人―。
「流星――――」
来てくれた……
私が名前を呼ぶと流星はさらに力強く抱きしめてくれた。
動けない、という形は同じたがさっきとは天と地の差である。
私は安心のあまり、さらに泣いてしまった。