テキストサイズ

桜の夢

第20章 罠と告白

「ちょっと君…何してくれてるのかな?」


そこで聞こえたのは船橋さんの声。

私はその声に震え上がってしまい、流星にしがみついた。

そんな私の背中をゆっくりと撫でてくれる流星。

撫でながら流星は言う。


「何って…心愛を助けたつもりだけど?」

「俺は東城さんと合意の上でしてたつもりだけど…ね、東城さん」


背中から射抜くような視線を感じる。

私は見えていないのに、その視線に声も出なくなる。


「心愛」


その時流星が、私にしか聞こえないような声で呼んだ。


「あいつの言ってることは本当か?」


違う!

でも声は出なかった。

だから私は流星にだけ分かるように、小さくだけど首を横に振った。

船橋さんの視線は怖かったけど、流星に包まれていたらなんだか安心できる。


「分かった」


流星は小さな声で、だがはっきりと言った。


「絶対守る」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ