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桜の夢

第21章 過去と今

蒼太―武田蒼太は、同じ塾に通う男子で、容姿端麗、文武両道、おまけに優しいときた。

しかも元サッカー部のキャプテンらしく、周囲からの信頼も厚い人気者だ。

そんなんだから女の子達にもてまくっていて、告白した娘も何人かいると聞く。

でも私には恋愛感情なんて、皆無であった。

確かに塾の同じクラスで仲もよかったけど、それだけである。

友達としては好きだけど、私なんか好かれてもなぁ…


「ここちゃん、付き合っちゃえ!」


はなちゃんは笑顔で言う。

はなちゃんはこういう話題が大好きで、誰かが好きとか聞くと直ぐに飛びついていく。

今回はこういう話を滅多にしない私絡みの話題だから、一層嬉しいみたいだ。


「無理だよ。蒼太にそういう気持ちなんて無いもの」

「じゃあ今からそうなればいいんだよ!蒼太のこと、嫌いじゃないでしょ?」

「それはそうだけど…」


その日はそのまま、悩みながら帰った。

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