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HELLO ENDING〜君との思い出〜

第2章 計算

爽やかな甘いマスクを困ったように歪ませた彼に、胸が切なかった。
いつもはもう少し年上の、大人の余裕がある彼だけど、今日はなぜか落ち着きのない男子高校生のようだった。

小さな机に紅茶を2人分置き、私は光村さんの向かい側に座った。
「今日はどうして?」
すると、光村さんが口をきゅっと結んで。軽く頷いた。

「真未。」
いきなり名前で呼ばれたので少し面食らってしまった。初めて呼ばれたから。思わず声が裏返ってしまう。
「な、何…?」
ゴクリ、と外に聞こえそうなほど音をたてて唾を飲み込んだ。
「お前が、恋愛に淡白で来るものこばまずな事、そして俺と、もう一人と関係を持っている事も知ってる。」
「だって、私が言ったらいいよって言ってくれたのは光村さんでしょ?何で今更…」

「それに、お前に辛い過去があって本当は凄く男嫌いな事も、知ってる。」

矛盾してる。

私は男嫌い。でも来るものこばまず。流石に、言いよってきた人全てと付き合った訳じゃない。どうでもいいの。ただ、面倒だっただけ。
もう一度、あんな目にあうのが。

その矛盾を分かってくれたのが光村さん。


と、霧人。



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