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HELLO ENDING〜君との思い出〜

第2章 計算

ピピピ、ピピピ…と控えめな目覚まし時計がなる。
真未は顔をしかめた。
昨晩、調子に乗って飲みすぎたせいか頭が重い。吐き気がした。

"ピンポーン"
(なによこんな時に…)
私は軽く髪を整えてドアの穴から外を覗いてみた。スーツ姿の胸より少し下辺りが見えた。一瞬誰だか分からなかったが、個性的なネクタイピンで検討がついた。
化粧をしていない事を少し後悔した。
せめてリップクリームだけでも塗ってこようか。でも待たせるのも悪い。そう思ったので、ドアをそろりと開けた。

「光村さん…」
「おはよう。起こしちゃったかな。俺が。」
「いえ、ちゃんと自分の目覚まし時計で起きましたから。それより、どうして?」
私が聞くと光村さんは、なにかそわそわした様子で
「あがっても、いいかな」
と聞いてきた。
「うん。」
彼が家にあがるのは初めてではないので、彼を待たずに私はリビングの方へ向かった。すると、
後ろで
「いっ…」
という声が聞こえたので振り返ると、光村さんが困ったように笑いながら
「はは…つまずいちゃったよ。」
と弱々しく言ってきた。いつもと違う。

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