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喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編

第2章 ♣海の女神♣

 今度は、悠理の方が思いきり照れる番だった。
「まさか。俺はそんな良いヤツじゃないからね。眞矢歌さんの困った顔があんまり可愛いから、つい調子に乗っただけ」
「まっ、何よ~、それ」
 眞矢歌がまたも拳を固めて追いかけてきて、悠理は笑いながら逃げる。
 いつしか、どこかぎこちなかった二人の空気は一転して親密なものへと変わっていた。
 潮騒だけが静かに響く浜辺で、二人はなおもしばらく他愛ない言い合いを続けていた。
 その背後で、身を寄せ合うようにして群生する浜ゆうが海風に吹かれている。それはまるで、ひそやかに笑いさざめいているようにも見えた。

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