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喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編

第4章 ♣永遠の女神♣

俺と眞矢歌さんと網元と。初めは三人で良いよ。もし縁とチャンスがあるなら、どういう形でかはまだ判らないけど、俺たちにも子どもを持てるチャンスはあるはずだ。それにもし、子どもを持てなかったとしても、俺は眞矢歌さんさえ、側にいてくれれば良いんだ」
「本当に私で良いの?」
 眞矢歌の眼から大粒の涙が流れ落ちる。
 悠理は優しい笑みを浮かべ、眞矢歌の涙を親指でぬぐった。
「俺だって、他人に自慢できるような過去を持ってない。眞矢歌さんこそ、俺で良いのか?」
 既にホストをしていたことも眞矢歌には話してある。悠理は眞矢歌を見つめた。
 眞矢歌の桜色の唇がかすかに戦慄いた。
 息をつめて、応えを待つ。
 やがて、いつ果てるとも知れないほどの沈黙の後、眞矢歌の唇から吐息と共に呟きが零れた。
「―私なんかで良かったら、悠理さんのお嫁さんにして」
「ありがとう」
 悠理のひろげた腕の中に、眞矢歌は素直に飛び込んできた。逞しい腕の中に眞矢歌を閉じ込め、もう離さないとばかりに強く抱きしめる。
 このやわらかな身体、髪の毛、温かなぬくもり、すべてが悠理にとっては愛おしかった。眞矢歌の髪に頬を押し当て、悠理は込み上げてくる涙を堪えた。
 今、俺は新たに守るべき存在を得た。これからは眞矢歌が俺の女神になるだろう。
 俺だけの、女神に。

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