雪月花
第6章 佐野美紀
俺は昼休みに入ると、すぐにこの場に来て佐野を待っていた。
少し暖かくなってきたとはいえ、まだまだ冬の風が吹く今日この頃。
待っているのは少し身体に堪えた。
何気なく辺りを見ると、つくしが顔を出している。
その場にしゃがみ、手を添えるとなんだか温かい気がした。
新しい始まり…
つくしはそれを示しているかのようだ。
そう、俺も今日、終わって始めるんだ。
そう思っていると―
「流星ー!!」
「…」
満開の笑顔で走ってやって来た待ち人、佐野。
俺はすっと立ち上がり、走ってくる佐野を見つめた。
佐野は俺の前で止まり、少し首を傾ける。
きっとこの角度が、自分が1番可愛く見えると思うんだろうな。