雪月花
第6章 佐野美紀
「いきなりどうしたの?」
そう聞きながら目をきらきらと輝かせる。
どうしたのって、会いたいって言ってたのはお前だろうが。
でもそんなことを言っても仕方がない。
喉元まで込み上げてきたその言葉を飲み込んで、俺は続ける。
「話がある」
「ん?どんな話?」
その時、佐野の笑顔が一瞬だけ悪い方になった。
本当に一瞬だけだけど。
まるで白雪姫を見つけた継母の様に。
あぁ…この時を待っていた。
遂にこの時が来たんだ、とでも言うように。
俺は息を吐き出しながら、それに言葉を乗せるように言う。
何の感情もない言葉がするりと口から出ていく。
「俺はもうお前とは付き合わない」