雪月花
第6章 佐野美紀
俺はきちんと佐野と向き合う。
「じゃあ聞くけど、お前が俺を好きな理由は?」
「え?え~とね…」
佐野がちょっと焦った。
ほらな?
何かあるならすぐに言葉が出てくるだろ?
そんなやつの泣き顔なんて、演技しかないじゃないか。
「1番は顔がいい…とかじゃないのか?」
「そんなこと…」
思ってない?
嘘をつくな。
お前はそういう人間だ。
こんな決めつけ、よくないかもしれないけど、正直、当たっている自信がある。
俺は向き合っていた顔をふいっと反らした。
「話は終わり。じゃあな」
今度こそ教室に帰ろうと、佐野の腕を振りほどいて歩く。
これでようやく終わる…