雪月花
第6章 佐野美紀
こうすればよかったんだ。
去りながら俺は思う。
ちゃんと俺から終わらせればよかったんだ。
始めから自分がどう思っているか、ちゃんと伝えればよかったんだ。
そうしたら、愛のない恋人なんてやらずにすんだのに…
ちょっとだけ心がすっきりした。
「―……に…―な」
だから満足だ。
過去のことは過去のこととして、受け止めよう。
これでもう…
「勝手に帰るな!!!!!!」
突然、後ろで佐野が叫んだ。
あまりにも突然でびっくりしたので、俺は直ぐに振り向く。
「なんでこんな可愛い女の子に告白されて付き合わないの?!頭、ぶっ飛んでるんじゃない?!?!」