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雪月花

第7章 この気持ちの名前


その時だった。


ことん、と何やら軽いものが右肩に乗っかった。


視線だけ動かして見ると、何やら黒いものが見える。


そして、すーすーという息づかいが聴こえる。


―東城が俺の肩で眠っていた。


ちらと見える表情はとても安らかで、見ているこっちが幸せになる。


その柔らかそうな頬に、綺麗な睫毛に、ぷるぷるした唇に無性に触れたい。


どうしても我慢が出来なくなって、左手をついのばしてしまった。


そして、指先がその頬に触れた時―






急速に理解した。


俺は東城心愛に恋をした。

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