雪月花
第7章 この気持ちの名前
「ぅ…ん―」
触れた瞬間、東城が声を出した。
驚いた俺は慌てて手を引っ込める。
だが起きてしまった様子はなく、再び小さな寝息が聞こえてくる。
俺は左手で赤くなっていく顔を覆った。
ようやく理解した…
俺がこんなにも東城が気になる理由。
東城が好きだったから。
どうしようもなく好きだったから。
「…好きだよ、東城」
…え?
声に出してる?!?!
心で思っているだけのつもりだったのが、いつの間にか口から出ていた。
やっべぇ…
誰にも聞かれてなきゃいいけど…
でも幸いなことに、テント内には俺と東城しかいない。