雪月花
第7章 この気持ちの名前
「それで…本当に何もない訳?」
「何もって…第一、春休みだから心愛とは―…」
あ。
ミスった。
「"心愛"?」
誠司がこの手のことを聞き逃すはずもなく、耳ざとく反応する。
そして俺のほっぺたをつんつんつついてくる。
「流星~。東城さんのこと名前で呼んでるんだ~」
「…」
最早、黙るしかない。
顔は真っ赤である。
穴があったら入りたい。
球技大会後から、俺は心の中でひっそりと東城のことを"心愛"と呼んでいた。
けして外に出すまいと思っていたが、焦って失敗した。
よりによって誠司に聞かれるとは…