雪月花
第7章 この気持ちの名前
そう思っている時だった。
色々言ってた誠司の目線がある一ヶ所で止まった。
ちょうど俺の後ろ辺りを見つめていた。
何かあるのだろうか?
俺もゆっくりと振り返る。
「なぁ、あれって心愛ちゃんじゃね?」
「えっ?」
誠司が示す先、そこは昔からあるとんかつ屋の裏口だ。
そこから同い年くらいの女子が出てきて、その向かいの公園に入っていった。
遠くからでも分かる。
あれは心愛だ。
思わず胸が高鳴る。
「…てか、"心愛ちゃん"だなんて呼ぶなよ」
「えぇ~いいじゃんか~。流星、独占欲強い~」
とりあえず1発、誠司を殴った。