
南の龍
第10章 缶けり
そのまま刻に「乗れ」と言われ、有無も言えず後ろに乗って今にいたる。
思い出すだけで腹が立ってくる。
「美椰、早く探さないと見つからねぇぞ」
「分かってるよ」
てか、なんで連れ出した刻が参加してないんだよ!
ほんと、あいつはうざいやつだな!
私も刻みたいにみんなやってんのを眺めてたいよ!
「あっ、そだ!木下、担当代われ!」
「は?」
「だから、私が見張りするからお前が鬼になれ」
「それして何の意味があるんだ?」
「意味とかじゃなくて、木下も内心は『鬼やりたいなぁ』って思ってるんだろ?」
「いや、全く」
「またまたぁ〜。意地張らなくていいんだよ〜」
「張ってない」
「張ってるくせに」
「張ってねぇよ」
「しつこいぞ!張ってるくせに!」
「お前がな」
