
南の龍
第10章 缶けり
10分経過……─
「おい、美椰いつみつけんだ?」
「うっせぇ。今さがしんてんだろ」
「探してるってごみ箱の中なんかにいるわけないだろ」
「は?いるかもしんねぇじゃん」
「あぁそう」
私は結局誰もいなかったごみ箱に八つ当たりして缶の方に戻った。
「どこいんだよ。あいつら」
「さぁ?」
「はぁ…つかれた」
「まだ、誰も見つかってないのに?」
「黙れ。…寝る」
私はそーいって木下が座ってるベンチの横にあるベンチに寝転んだ。
丁度木陰になっていて、涼しい。
まぁ、暑いのには変わりないけど。
「おいおい」
「なぁ、」
「ん?」
「みんな帰ったとかないよな?」
「へ?」
「帰ったのか!?」
「いや、帰ってないと思うけど……」
「なんで『思う』なんだよ。お前見てたんじゃねぇの?」
「別に全部見てたわけじゃないからな……」
