南の龍
第15章 恐怖
その時に私の頭の中に一枚の情景が現れた。
真っ赤な手。
その小さな手は自分のもの。
沢山の人が倒れていて自分の目の前には母さんが血まみれで倒れている。
白い服に血を滲んでいて、その出血量は凄まじい。
そして、私とは別にもう一人だけ男が立っている。
その人はまだ小さな私に銃を向けている。
冷たくて感情がこもっていない目……。
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そこで、私は気がおかしくなった。
「いやあぁー─────!」
私はあまりに怖くて体を起こして叫んだ。
頭が痛い。私は両手で頭を包み込む。