南の龍
第15章 恐怖
すると、襖が勢いよく開いた。
私は、体をびくつかせる。
襖を開けたのは美織だった。
「美椰大丈夫か!?」
そう言いながら、美織は震えるわたしの体を抱きしめてくれた。
息づかいも荒くなり、涙も止まってくれない。
そして、思い出す。
今のこの現状初めてじゃないことに。
たしか、小4のときにもなった記憶がある。
でも、そんなことゆっくり思い出してる暇もないくらい私は目に見えない恐怖に追い詰められていた。
「今、父さん呼びだしてるから大丈夫だ」
美織はずっと『大丈夫』と言いながら抱き締めてくれている。
それでも、この恐怖心は和らがない。