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南の龍

第3章 高野家

私は、仕方なくトキに着いていくことにした。

いや、着いていくってここ私んちだよ。

なぜトキが前あるいてんだよ。

まぁ、いいや。



私とトキがリビング……じゃないな“みんな”が集る居間に顔を出した。

すると“みんな”は待ってましたと言わんばかりの笑顔をこっちに向けた。

いや、こえぇよ。

そのいかつい顔で笑顔を作るんじゃねぇよ。ゴリラども。


「刻、よく連れてきたなこの美椰を」

ゴリラの中の一匹がそう言ってきた。
正確には松本といういかつい男性。

「勝手にほいほい着いてきました」

「私はゴキブリか」

私はトキが言ったことに、ボソボソ突っ込んだ。

「まぁ、美椰には大切な話があるんだよ」

「なに?」

「組長が来てから話すよ」

「じじぃどこ言ったんだ?」

「少し用事だ」

「キャバか風俗しかいくあてないだろ」

「美椰は父親をなんだと思ってるんだ。仕事だよ」

「それも、それですごく困るけど」

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