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南の龍

第4章 南龍

私は、自分がなぜこんなところにいるのか分からなかった。

ここに来たときの記憶が曖昧なのだ。

むしろ、お腹痛かったなぁくらいしか覚えていない。

だから、刻と朝会った男がここにいることも意味分からなくて。

分かっているのは、今頭がびっくりするくらい正常に動いていること。

脳ミソがフル回転してる気さえする。

だから、盛大にびっくりしてやった。

「私は誰?ここはどこ?」

「お前の名前は自分で思い出せ。ここは俺らのたまり場」

朝の男がそーいった。

「美椰だよ!」

………で。

「お前が一番誰だよ」

「美椰だよ!」って女の私より可愛い顔して言った男の子。

中学生か?この男の子は。

「俺?俺は輝だよ!荒木輝!輝くで輝!」

なんで、自己紹介ごときでこんなにテンション上がれるんだよ。

幸せ者だな。

しかも、ア、キ、ラしか文字ないじゃん。
おもろいな。

てか、それはどーでもいい。

今、なにより気になるのは

「顔近いよ!」

輝の顔がすごく近くにあること。

僅か10センチの距離。

違う言い方をすれば10センチ動けばキスができる。

……って、私は何を考えてるんだ。

犯罪だよ。こいつにキスなんてしたら。

「俺等全員美椰の一つ上だよ!」

「……」

「美椰妹だぁ!」

「……」

こいつが、輝が一つ上である事実に言葉も出ないって感じ。

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