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南の龍

第4章 南龍


「で、ここはマジでどこ?学校……だよな?」

「うん!学校だよ!あのな!あのな!俺の…──」

「うん、分かったから。もうちょっと落ち着いて喋って」

私は、やたらハイテンションな輝を落ち着かせる。

「あー、うん分かった!それで、俺の父ちゃんがここの理事長でこの部屋借りてるんだ!」

「へー」

「なんでもあるぞ!ゲームもテレビも漫画も……あとは……いろいろ!」

「そか」

てか、学校に不必要なものばっかりだな。

他には私が座ってる三人掛けソファ。

向かい側に同じソファとその間にローテーブル。

小さめの冷蔵庫。小さめのキッチン。学校の書類が入ってるであろうひきだし。

てか、なぜキッチン。

「ここ前は保健室だったらしい!でも、移動したから空き部屋だったんだって!」

「へー」

「だから、あそこの扉の向こうにはベットあるから寝たいとき寝ていいから!」

そー言った輝は部屋の一角にある扉を指差した。


「あー……うん」

「なぁ、美椰!それよりゲームしよ!」

そー言った輝は私の手首を引っ張る。

まず、なぜ私はこんなに輝に好かれてるんだ?
初対面なのに。

「あっ、ちょっと待って。私、刻とちょっと話したい」

「うん、分かった」

私が言ったことに輝はあからさまに悲しげな顔した。

なぜか、それが捨てられた仔犬みたいに見えた。

「んー、また……やろ。多分」

私がそーゆうと、拾われた仔犬みたいに笑顔になった。
尻尾を振ってる姿が絵に浮かぶ。

「うん!絶対な!」

輝はすごく嬉しそうにそー言った。

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