南の龍
第4章 南龍
「刻ちょっと来て」
私は、刻を呼んだ。
刻は何も言わずソファから立ち上がって私に着いてきた。
なんか、クールとかそんなんじゃなくて、無口無表情。
あまり着崩してない制服がまたかっこよさを引き出す。
……なんて言ってみる。
私は、今ご機嫌斜めだ。
いや、斜めと言うより下向きって感じ。
私は、非常階段の扉を開けてそこで話すことにした。
「えっと〜あそこに連れてきたのあんた?」
私は、単刀直入にきいた。
「あぁ」
私の質問に短い返事をした刻。
輝の何倍も可愛いげがない。
「なんで?」
「……」
私は刻を横目で少し睨んで、一番聞きたかったことを聞いた。
「なんで私に関わろうとするんだよ」
「…敦さんに頼まれた」
敦というのは私の父のこと。
いくら親父どうしとかが親しいからって私を巻き込まないで欲しい。
それに、私は刻の親なんて知らない。
その部分は私一人な気がして寂しかった。
「あとは、俺等が関わりたいから」
「は?」