南の龍
第4章 南龍
「……」
「もし、そーならあんたは変わってる」
「やっぱり……覚えてないのか?」
そー言ったのは泣きそうな顔をした輝だった。
いつの間に来たんだよ。
全く気付かなかった。
てか、なんでそんな泣きそうな顔なんだ。
しかも、覚えてない……って何?
「俺等…──」
「輝」
輝が言おうとしたことを刻が制止した。
「でも、俺……」
「部屋戻るぞ」
「えっ、ちょっと待ってよ!俺等がなによ!?」
「……」
輝は下を向いたまま何も言わない。
「……何もない」
刻は誤魔化す。
「意味が分からない」