南の龍
第4章 南龍
「輝先戻っとけ」
「うん、分かった」
また、刻と二人きりになった。
静寂が私達を包む。
「なぁ、俺等が何?」
先に沈黙を破ったのは私だった。
「何もない」
「なんで、誤魔化すんだよ」
「……」
私が不機嫌な顔をしていると刻が私に近づいてきて目の前で止まった。
私より30センチくらい高い身長。
目の前には刻の胸板。
改めてかっこいいと思った。
「美椰」
「へっ」
私は不意に名前を呼ばれてびっくりした。
なんせ、かっこいいとか思ってるときだったから。
私が、名前を呼ばれて上を振り向くと、刻の顔が私の顔に近づいてきた。
そして、不意にキスされた。