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南の龍

第4章 南龍

私が大人しくしていたらすぐ離してくれた。

ちくしょう。最初から大人しくしとけばよかった。


私が教室に戻ろうとしたら「どこ行くんだ」って刻に睨まれた。

だから、刻に着いていくことにした。


いや、じゃなくて。

「腹減った!」

私は、刻の背中に向かって小さめの声で叫んだ。


「ふっ。ずっと寝てたのにか」

バカにしたように笑ってそー言ったのは刻ではなくバイクの男だった。

その男は私の近くまで来て壁に寄りかかった。

「悪いか!人間生きてるだけで腹減るんだよ」

「まぁ、そーだな」

「おぅ!」

「あれ?刻は?」

さっきまで私の前にいた刻がいなくなっていた。

「トイレ?」

「……」

「まぁ、いいや。私パン買ってくるから」

そー言って私は急いで購買に向かった。

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