南の龍
第4章 南龍
「これ、私のために買ってくれたんだよな?」
「あぁ」
「刻が好きなの選んだのか?」
「いや、お前の」
「……なんで知ってるんだ?」
「……」
「嫌いな物とか」
「……」
「なぁ、聞いてる?」
「…あぁ」
「じゃぁ、なんで?」
「……木下に聞いた」
「なるほど!流石ストーカーだな!」
「……」
「……」
「……いや、木下にも教えてないぞ!」
「……」
「なぁ、ほんとはなんでだ?」
そのとき溜まり場に着いてドアを開く音で話が一旦切られた。
「なぁ、刻ぃ〜!なんでだよぉ〜!」
私は、答えてくれない刻に段々イライラしてきた。