南の龍
第6章 事件
改めてこの部屋を見渡す。
コンクリートで出来た六畳部屋で、私が座ってるベッドしかない。
窓もない。
電気も小さいのがひとつだからかなりくらい。
後は、小さい換気扇がひとつ。
私は何もすることがなかったから、部屋に隠しカメラがないか探し始めた。
足が縛られてるからピョンピョン跳ねながら探す。
「ん〜、ないか。こんなとこに」
私は一ミリも空いていないであろう壁に目を凝らしてみる。
「何してる?」
いつの間にか部屋に入ってきたさっきとは違う男が喋りかけてきた。
「だ─……ッッ」
『だれ?』と言おうとした言葉は壁に押さえつけられた衝撃で口に出来なかった。
「なんだよ!」
「お前処女か?」
「…だったらなんだよ!」
「フッ」
「今バカにしたか?」
「全部めちゃくちゃにしてやる」
「は?」
私のその言葉を最後まで言い終わるか終わらないかのところで男にキスされた。