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第3章 三

彼は現像するために別室に消えた。

僕は一人ソファーに寝転がる。

彼に触れられた手が熱い。

鼓動が早い。

僕は男に興味がない。

今までだって興味をもったことはない。

でも彼は…。

彼の唇の感触を思い出す。

薄い唇。

その唇が僕の身体に触れるのを想像する。

そうしながら、僕は自分の指で唇をなぞる。

グロスを塗ったら色っぽいと女友達にからかわれたこともある僕の唇は少し厚めで、柔らかい。

僕は目を閉じ、指を舐める。

頭の中で、彼にされることを想像して。

触れてほしい。

そんな感情が沸き起こる。

指で唇で。

じょじょに下腹部が熱くなる。

僕は下腹部に指を伸ばす。

ジーンズの上からゆっくり擦る。

微妙な刺激にもどかしさを感じる。

僕は今、知り合ったばかりの男の家で、その人にされることを想像して、自らを慰めようとしている。

こんなことはしてはいけない。

そう思うのに止められない。

彼がすぐ近くにいることも僕をより興奮させた。

僕はジッパーを下ろし前を広げると、直接指を絡める。

身体が熱い。

僕は夢中で擦りあげる。

まるではじめて自慰行為をしたみたいに。

口から声が漏れる。

ヤバイ。

頭の中で警告が鳴る。

ヤバイ、ヤバイ。

でも、止められない。

指が己の精液に濡れている。

そのまま擦りあげ、快楽を求める。

…触れてほしい。

彼の指で。

今、僕がしてるみたいに。

そして触れたい。

彼に。

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