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第3章 三

あれから僕は何度も彼に会い、抱かれた。

彼の指に触れられるだけで、おかしくなりそうになる。

彼は僕の指を好んでいた。

最初に声をかけられた時もそうだった。

彼は指に口づけ、愛しげに撫でる。

僕は気づいていた。

 彼が愛しているのは、僕ではなく『指』なのだと。

それでも僕は彼から離れられない。

愛しているのだから。

彼の存在が、今の僕の全てだ。

だから僕は。

僕は…。

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