天馬の飼い方
第1章 俺の宿敵
―――PPPPP
カチッ
「ん……ふぁ〜あ」
大きな欠伸と共に1日が始まる。
そんなのいつものこと。
昔からなにも変わらない俺の日常。
テキトーに顔を洗い、制服に着替える。
時刻、午前7時25分。
リビングへ降りると母さんがにあいさつをして朝食に手をつける。
「おい。今日は学校に行くのか。」
こいつは俺の親父。
有名な俳優だ。
そして俺は親父が嫌いだ。
「だったら何だよ。あんたには関係ないだろ。」
「早くいけと言ってるんだ。お前のファンは煩くてたまらん。」
これだから俺は親父が嫌いなんだ。
「チッ。飯が不味くなった。もういらね。母さん、弁当ちょーだい。」
「あら、もう?はい、どうぞ。いってらっしゃい。」
「さんきゅ。いってきます。」
母さんから弁当を受け取り、家を出る。
時刻、午前8時。
マンションを出ると俺の嫌いな奴らがまた現れる。
「キャー(///∇///)てんまくぅん!!こっち向いてー♪」
「愛してる〜!手ぇ振って☆」
ギャーギャーと騒がしい歓声が波のように押し迫る。
俺はそれが鬱陶しくて、セットした髪を手でクシャクシャにする。
ただそれだけ。それだけの事でその場が一気に沸き上がる。
―――お前らなんか大嫌いだ……
心の中でそう呟いて、マネージャーの車に乗り込む。
車の窓を叩くファンつくづく呆れる。
「うぇ。気分悪い...。」
「あははっ。まあ、それだけ売れてるんですからいいじゃないですか。」
「いいわけあるか。気持ち悪い。ストーカーみてぇに毎朝毎朝……」
「大変ですねー、売れっ子モデルも。」