天馬の飼い方
第1章 俺の宿敵
彼奴は俺の顎を掴み、軽くキスをしてきた。
「てめぇ、何すんだ!!」
「んふふ♪もっと濃厚なのが好きかな?」
「んなことを言ってんじゃねーよ」
「運命の人にそんな言い方しないでよぉ」
「運命じゃない!!」
こいつ、空乃天馬(ソラノテンマ)は俺と同じ名前。
それだけで運命だと言い寄ってくる。
「はあ…」
「ちょっと、どこ行くのぉー天馬君♪」
宛もなく、逃げるように廊下にでた。
彼奴は嬉しそうに追いかけてくる。
「着いてくんなぁ!」
振り向いて文句を言っても、嫌味なくらい綺麗な笑顔を返された。
気づけば人気も無くなり、教室のプレートには『第三資料室』と書いてあった。
「こっから教室って…どうやって行くんだ……?」
仕方ない、引き返すか…
振り返ろうとした時……
「ふぐっ!?」