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RAIN

第6章 拒絶《拓海side》

すぐに神崎くんをテーブルのある部屋まで案内し、俺はその奥にある小さな和室へと向かい、タンスの中からベージュ色したスウェットを出すと神崎くんに渡す。
「とりあえずこれ着てくれる? 今風呂沸かしてくるよ」
どうしていいのかわからず、呆然と立ち尽くしている神崎くんを置いて、すぐに風呂場へと直行する。

玄関上がってすぐ横にある風呂場に入り、簡単に掃除をすませ、すぐに湯を張る。風呂に入れるようになるまでまだ時間があるので、次に神崎くんの元に戻り、スウェットに着替えたか確認する。

彼は素直に従事し、脱いだ制服一式を両手に抱えていた。それを受け取り、とりあえず脱衣所にある洗濯機に放り込む。ついでに俺もまた濡れた私服を脱ぐために、奥の和室にこもる。引き出しから白いスウェットを出し、即座に着替え、濡れた服を神崎くんの制服が入っている洗濯機に入れ、乾燥も含めた洗濯内容にセットする。スイッチを入れると瞬時に中のドラム缶が回転をはじめ、洗濯開始の音が奏でる。

次に風呂が沸いてるか確認すれば、まだ完全ではないが、何とか半分以上溜まった湯量を見て、それなりに入れるだろうと判断した俺は神崎くんを呼ぶために戻った。

「まだ浅いけど、でも入れるようになったから入ってきて」
「あ、はい……」
翻弄される形で神崎くんが俺の後に続く。
「バスタオルはそこにかかってるから」
脱衣所に神崎くんを残し、ドアを閉める。


神崎くんを風呂に通し、当分何もやることがない。
あとは彼が風呂から出た後に、湯冷めしないように温かい飲み物を用意するだけだ。俺はポットの中にどれだけの湯が入ってるか確認するための作業を開始した。


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