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RAIN

第8章 告白《翔side》

本来の目的を果たす。俺は拓海さんに俺の想いを伝えるためにきたんだ。
もう鈍ることのない決意。
だから今こそ伝えたい。伝えなくちゃいけない。
それがどんな結果につながろうとも、もう俺は逃げない。


俺の切羽詰まった口調に拓海さんは何かしら感じ取ったらしく、拓海さんの表情が苦しそうに歪められていた。

拒絶される。拓海さんの表情から俺の中で一抹の不安がどっと寄せられてきた。
それでも言わなくては。一息吐いてから俺は俺の想いを口に乗せた。

「俺……、拓海さんとはじめて会ったあの時、俺の中で世界が止まった気がしました」
心臓が大きく音を響かせる。足の上にある拳が震え、口中がいやに乾いてくる。
拓海さんはただ怪訝そうに見据えるだけだ。俺が何を言わんとしているのか、注意深く伺っているようだ。
「拓海さんがあの公園で雨に打たれていた時、俺は雨に嫉妬しました。雨に拓海さんを奪われる気がして……。拓海さんから目が離せなくなって、いつまでも拓海さんと離れたくないと願って……」
ポツリポツリと言葉にする俺の想い。いざ実行に移すと頭の中がうまく動いてくれない。告白がこんなにも難しいなんて思いもしなかった。
だけど伝わって欲しい。俺の、拓海さんへの想いを感じて欲しい。その一点で思いつくまま言葉にする。

「それまで俺は誰にも心を開くことが出来なくて、他人と距離をおいてました。家族に対しても素直になれなくて、今まで退屈で憂鬱なものでしかなかったんです。だけど拓海さんと知り合ってから俺の人生は意味のあるものに変わりました」
俺の一方的な告白に拓海さんはずっと黙っていた。言葉が出てこない。その表現がぴったりな気がする。

「……拓海さんが俺を嫌ってるのはわかってます。会いたくないほど嫌がってるのもわかってます。だから一度は諦めようと思いました。忘れようとしました。だけど……やっぱり無理でした」
拓海さんの顔が辛そうに歪められる。唇を噛み締めている姿が俺の視界に入ってくる。

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