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RAIN

第8章 告白《翔side》

やっぱり嫌なんだ。拓海さんは俺を避けている。
だから俺の告白に顔を歪ませているんだ。拓海さんの表情に俺の心が痛いと訴えている。
だけど最後まで伝えなくては。最後まで俺の想いを拓海さんに伝える。結果が見えていようとも……。

「俺は拓海さんと離れたくないんです! もう二度と会えなくなるなんて、俺には辛すぎるんです……! 嫌われてるとわかってるけどどうしても諦められなくて、だから俺、俺の想いを伝えるためにきました」
切実に訴える俺の姿に拓海さんが顔をそらしはじめた。

「……違う……、違うんだ…………」
今まで沈黙を守ってきた拓海さんが小さく、ほんとに小さく呟いた。
「君が嫌いだからとかじゃない……」
それは消え入りそうな声音だった。
けれど俺はそんな囁く程度の、拓海さんの声を聞き逃さなかった。
「……え……?」
今度は俺が拓海さんの言葉を待つ身となる。

「俺は君の傍にいちゃいけないんだ」
「何を……?」
拓海さんから発せられた内容についていけなかった。
「俺と一緒にいてはいけない……」
「どうして……?」
何を言い出すのか。全く意味が掴めない。意味がわからないから、何を口にすればいいのか、何に困惑すればいいのか頭がついてこれなかった。

拓海さんの真顔が俺へと向けられる。辛く、苦しく、何よりも切なく今にも泣きそうな拓海さんの姿に、俺までやりきれなくなる。


「俺は……、俺と関わるすべての人たちを不幸にさせてしまうから……」

拓海さんの口から思いもよらない激白に、俺は絶句してしまい、二の句が継げなくなってしまっていた。

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