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RAIN

第9章 告白2《拓海side》

どうしてそんな簡単に言い切れるのか。今度は俺が困惑を隠せない。
彼の、その確信はどこからくるものなのか。

けれど俺はこの台詞を前にも聞いたことがある。



『俺は不幸になんかならない』
なんの迷いもなく断言したそいつに、俺は泣きそうになったのを覚えている。


神崎くんの今の台詞と被る。そして意思の強さも同じだった。


『お前は決して“死神”なんかじゃない!』

――……和磨……――

今はいない親友の名をそっと胸の中で囁く。
だけど俺はその面影を無理に押し出そうと頭を振った。




「俺、拓海さんが好きです」

現実に戻った俺の耳が信じ難い言葉を拾う。

さっきから俺はこの少年に翻弄されている。
「誰よりも拓海さんが好きなんです」
まるでこれって本来は女性に愛を捧げる告白のようだと、俺はおぼろげながらにそんな感想が頭の中に浮かんだ。
もちろん神崎くんが発してる言葉はそんな意味ではない。そうだ、これは友情としての意味であって、決して愛の告白なんかではない。だって俺も神崎くんも互いに男だ。同性に愛の言葉を囁くなんてあり得ないではないか。


真摯な瞳で、まっすぐ俺を見つめる神崎くんから目が離せない。
「拓海さんを愛しています」
はっきりと一語一語深く慈しむように述べた言葉が、俺へとまっすぐ貫く。

神崎くんから出た告白に、俺は驚きで瞳を大きく見開くしかなかった。


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