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機動戦士ガンダムδ

第2章 デルタの幻影

会話が止む…。
上がる声はそれぞれの状況通達。
戦闘のたびに聞く、にたような言葉の羅列。
だが、その一つでも聞き損ねれば全員の命が危険にさらされる場合もある。
一言一言を注意深く聞き、今後の対応を判断する。
そのとき…
「熱源反応多数感知!これは…宙賊です!デブリに潜んでいた模様。数は八機、いずれも《ギラ・ドーガ》。」
通信士、エリシアの声が上がる。
彼女はラーナとはうってかわり若い女性だ。その彼女が言うところによると、宙賊が現れたらしく、ブリッジに声が響く。
あまり新しい機体とは言えないが、数がいるため侮れない。
「各員に通達!総員、第一種戦闘配備、各砲座開け。」
「ミノフスキー粒子戦闘濃度散布。モビルスーツ隊、敵はデブリに潜んでいる。気を抜くな。」
ブリッジが慌ただしくなる。
待ち伏せに成功、出だしはよし、あとはあの子にどれだけガンダムが使いこなせるか、それにかかっている。

無線越しにアルダの声が響く、「クロード、機体の調子はどうだ?」
「可変機を使ったことはありますが、この機体のGが強く長期戦は望めません。」
「聞くなり弱気をいうな。自分の力を信じろ。」
「了解。敵機をセンサー内に探知。」
賊との面会はもうすぐのようだ。
「クロード、ピンチになる前に言えよ?いつでも乗り変わってやる。」
タルマン少尉の声が聞こえる。
タルマン・ビル、腕利きのパイロットとして周りからは一目おかれているが、艦長と同じく酒癖が悪い。
そんな男の冗談に、
「そのときはお願いします!」
と、返しておく。
一気にフットペダルを踏み込むと、さらに強いGでシートに押さえつけられる。

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